【騒音】苦情の統計を調査してみた(前編)

調べたかったこと
騒音の苦情件数って、どこが統計を取っているんだろう?
そんな疑問から、
次の4つの項目について調べてみました。
- 警察への騒音苦情件数
- 役所への騒音苦情件数
- マンション組合による騒音苦情の統計
- 不動産会社が出している騒音苦情の統計
調べた結果
実際に調べた結果は、次の通りでした。
- 警察への騒音苦情件数
→統計データなし - 役所への騒音苦情件数
→環境省が苦情件数を公表している - マンション組合による騒音苦情の統計
→統計データなし - 不動産会社が出している騒音苦情の統計
→統計データなし
調査結果を簡単にまとめます。
- 【警察】
❌統計データなし。
騒音による110番通報や署への相談はある。
しかし、統計データは取ってない。 - 【役所】
✅統計データあり。
環境省が、統計を 毎年 発表している。
各役所に寄せられた苦情件数を集計して発表。 - 【マンション組合】
❌統計データなし。
各マンション組合の苦情件数の公表なし。
全体の統計データはありません。 - 【不動産会社】
❌統計データなし。
アンケート調査などはある。
しかし、公式な統計データは存在しません。
結論:環境省の統計のみ
つまり、統計データとして
公開されているのは環境省のデータのみです。
このデータは、
全国の役所が報告した騒音苦情件数を集計したものです
ただし、発表はやや遅め。
たとえば2022年分が公開されたのは2024年ごろです。
環境省:2022年度の苦情の件数
環境省:2021年度の苦情の件数
環境省:2020年度の苦情の件数
環境省のパンフレットです。
環境省:騒音の苦情件数パンフレット
環境省:振動の苦情件数パンフレット
環境省の統計を見てみましょう(過去5年)
環境省が発表している、
過去5年の苦情分類データをまとめました。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 全体 | 建設作業 | 工場・事業場 | 営業 | 家庭生活 | その他 |
2022年 | 20,436件 | 7,736件 | 5,236件 | 1,946件 | 1,399件 | etc |
2021年 | 19,700件 | 7,460件 | 5,473件 | 1,456件 | 1,389件 | etc |
2020年 | 20,804件 | 7,841件 | 5,554件 | 1,911件 | 1,583件 | etc |
2019年 | 15,726件 | 6,062件 | 4,422件 | 1,411件 | 1,131件 | etc |
2018年 | 16,165件 | 6,050件 | 4,610件 | 1,383件 | 968件 | etc |
スマホの方へ
横スクロールで4位「家庭生活」が見えます。
URL:環境省公式ページ
家庭生活の騒音、少なすぎると思うんだけど
家庭生活の騒音とは、
日常生活で発生する騒音の全部が対象です。
具体的には、以下のような音が含まれます。
- エアコンの室外機の音
- 上階の足音
- ピアノや楽器の音
- 掃除機・洗濯機の音
- 子どもの泣き声や大人のはしゃぎ声
- 隣の庭でのバーベキューや洗車・ケルヒャー
- DIY作業など
2022年の苦情件数は全国1,399件。
家庭生活の苦情件数、1,399件。
47都道府県で割ると…
1,399 ÷ 47 = 29.7件(1県あたり年間 約30件)
さらに月ごとに計算すると…
29 ÷ 12 = 2.5件(1県あたり月2.5件)
あなたの住む県で、
月に2〜3件しか騒音苦情がありません。
信じれますか?
実際の感覚とかけ離れているように思えます。
さらに、2022年は騒音被害が急増した
2022年といえば、コロナ禍。
リモートワークが急増した年になります。
家庭生活の騒音トラブルは、
ニュースやWeb記事でも急増と報じられていました。
なのに・・
- 苦情が 月2〜3件件 しかなかった。
本当にこのデータは正しいのか?
この違和感を、調査します。
次の記事:
「環境省の苦情統計が少ないのはなぜ?調査してみた(後編)」